2017年8月23日水曜日

911R



1973ポルシェ911RS2.7は長いポルシェ911の歴史を語る上で最も重要なモデルです。しかしながら、そのRSが誕生する約6年前の1967年にフェリー・ポルシェの甥に当たる当時若干29歳だった天才フェルディナンド・ピエヒによって開発されたモデルが1967 Porsche 911R。

911Rはポルシェファクトリーが911をベースに開発した純レースカーバージョン。4台がワークス・プロトタイプとして製造され,
その後に20台が製造されました。
車の開発内容は全てがスペシャルでした。前後フード、バンパー、ドアそしてドアノブまでもFRP化し、ウインドシールド以外の総てをパースペックに交換し徹底的に軽量化を図りました。その結果車両総重量は830kgまで削ぎ落とす事に成功しました。911RSライトウェイトの初期モデルで総重量970kgに対して、この911Rの830kgがいかに軽量化に徹底したのかが分かります。サスペンションとブレーキは勿論レース用にスペシャルチューンされました。キャリパーはアルミ製のライトウェイトを使用、ドライブシャフト、トーションバー、トーションバーサポート、その他あらゆる所に補強と軽量化がされた特別なパーツが組み込まれています。

更にウェイトバランスを計算した911Rはオイルタンクをリア・フェンダー前と助手席側ドア後ろの間に設置されました。

 
 

フロントフェンダーの内側には二つのオイルクーラーが設置されその二つのオイルラインはフロント・トランクへと繋がっています。(911Rのオイルラインは全て溶接加工されているのも特徴です)

ボディもファクトリーで徹底的な補強が施されました。そこまで補強化、軽量化された911ベースの車両に904、906そして910での成功を証明した901/22型を搭載したのが911R。
最初の911のエンジンとして開発された2リッターフラット6ユニットは”901/01”と呼ばれ、このユニットに大胆なチューンを行い、”901/22”と言うレースの為に設計されたエンジンが加わりました。901/22は設計されて間もなくポルシェ904の20台(通称904/6)にインストールされ数々のレースで素晴らしい成績を残すと、次のレーシングモデルであるポルシェ906、910にもこのエンジンが受け継がれました。
エンジンケース、インテーク・マニホールド、タイミングチェーンカバーは全てマグネシウム製。キャブレターは46IDA3を使用しています。
 
901/01の130psに対して901/22は210psにまでチューンされていました。


先程も説明したように911Rは最終的に開発用プロトタイプも含めて24台しか製作されなかったため、GTレースカーとしてのホモロゲーションを取得することはできませんでした。
(当時、ファクトリーが911Rを1台生産するのに莫大な費用が掛かった為だそうです)
ワークス又はプライベーターにデリバリーされた車両の多くは耐久レース、ラリーなど数々のレースにプロトタイプとして出場して輝かしいリザルトを残しました。

その後の911のレーシングモデルである911RSR2.8 M491は勿論の事、911RS Light Weight M471,touring M472 などの名作は全て911Rがフォーマットとなっています。

 
911Rは開発後すぐに当初906が出場予定だったイタリアのモンツァ・サーキットの路面状況があまりに悪く出走不可となり代わって911Rがその舞台に上がり、世界速度記録へと挑戦し見事15000km、10000マイル、20000km、72時間、96時間という5種目の世界速度新記録を樹立しました。最終の96時間目における記録は210kmをマーク。この記録は後にスバル・レガシーなどによって次々と更新される事になるのですが、いずれもターボエンジンであって、自然吸気(NA)2リッターエンジンが残した記録とは似て非なるものと後に評価されています。

Naito Autoの911Rは20台の内の特別な仕様でポルシェから1967年にデリバリーされた1台。数々のレースヒストリーを持ち、Tour de France を制覇した伝説のワークス・ドライバーGerard Larrousseが1969年のレースでハンドルを握った事でも有名な車両です。
そしてこの車の様にChassis, engine, transmission全てがオリジナルの状態で保存されている911Rは20台のうち極僅かと言われています。

クラシックポルシェを購入する時にいつもアドバイスをしてもらっているポルシェ・ヒストリアンのバース氏が作成した70ページに及ぶバース・リポートが先日完成しました。

 




 

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